【質問】 ケーズホームさんは、ほとんどのお宅は基礎断熱を施工しているようなのですが、 その場合、基礎の下の土の水分は、どうなるのでしょうか? 床下の湿気となり、空調機械(CAFやHRV)により換気しているのでしょうか? そうするとやはり空調機の取り付けは必須で、 24時間稼動していないとならないのですよね? また、地中熱利用を利用することも大変魅力に感じるのですが、 調べていると断熱材が蟻道となりシロアリ被害等も懸念されると聞いています。 地区にもよるかと思いますが被害がでている前例はありますか? まだ御社ではどのうように対策、管理などされているのでしょうか? 【加藤社長の回答】 基礎断熱は、常滑M邸から実施しています。 (4年前)実施にあたり、基礎内部の湿気、シロアリは最も気になるところですね。 まず、基礎の内部の湿気問題は、基礎コンクリートを打つ際にコンクリート下に防湿シート(ポリスチレンフィルム)を敷き込みます。 現在の基礎づくりでは常識になっていますが、必ずしも義務化されてはいませんので、 実施していない業者も居るでしょうが、これでほぼ地下からの湿気を防ぎます。 さらに、CAF,HRVいずれの場合も、床下に換気ダクトを通すことにより、 地下から基礎面に伝わる熱を利用しています。 これは、年間を通してあまり変化の無い、基礎下の地下温度を利用するだけでなく、 空気の停滞を防ぎ、一定の乾燥を保てるので、一石2丁です。 打ち合わせの時、御見せしますが、基礎断熱や外壁外断熱に使用する断熱材は、 防蟻処理が施された、特許製品(USA)です。 また、基礎の上に敷き込む土台、カリフォルニアレッドウッドは、 自然界に存在する最もシロアリに抵抗力が有る木の一つです。 万一、コンクリートを伝わり、ようやく土台に辿りついたのに、食べる事の出来ない木だった、と言う訳です。 さらに、防蟻処理された断熱材をすり抜けて外壁から入ろうとしても、その下にはモイスと言う、鉱物から出来た構造用面材(建物の強度を出す板)が阻みます。鉱物は石ですから、シロアリが食べることは出来ません。 基礎断熱をするに当たって、以上の工法、材料が確保することで可能になりました。 基礎断熱は、地下の地盤熱利用、基礎コンクリートの保護など良い点がたくさん有りますが、 ご指摘通り危険も潜んでいます。 全てをクリアーしなくては、安易にしてはいけない工法でもあります。 換気扇を24時間廻す必要がある、とのご指摘ですが、2005年(?)頃 国は、あまりにシックハウス症候群の被害がひどいので、新築住宅の24時間換気を義務ずけしました。 基本的に新築住宅は、24時間換気をしなくてはいけません。 詳しくは打ち合わせ時にお話します。 【質問】 基礎コンクリート下に防湿シートを敷き込むのが現在の基礎づくりの常識だとは知らず、大変勉強になりました。となると基礎コンクリートは完全に保護されるわけですね。 なるほど納得いきましたが、新たにわいた疑問点が2つあります。 ・カリフォルニアレッドウッドがシロアリに食べられる可能性はほぼ0なのか? ・モイスのつなぎ目からシロアリが内部へ進入する可能性はないのか? あと、事のついでに伺いたいのですが よくある「基礎パッキン工法」について、加藤様はどうお考えでしょうか? 地下温度が利用できないのはもちろんですが、 耐性面でどうなんだろうというのと(70年以上住める家を建てるとしたら) 通気口となるパッキンの隙間部分がクモの巣やホコリやらでつまったりしないのかと疑問で・・。 御社で採用していない工法についての質問になってしまい恐縮ですが 気になるので教えていただけたら幸いです。 【加藤社長の回答】 カリフォルニアレッドウッドの耐蟻性については、後日打ち合わせ時にお話します。 モイスの継ぎ目からシロアリが侵入するか?との質問は、「絶対にあり得ない」とは言えない、が答えです。 その為、弊社では、外断熱パネル工法にした時点(保温性が高まり、生物が快適な環境になる為)から、下地の木部全体にホウ酸化合物(防蟻処理剤) を塗布しています。 この物質は、壁内のセルロースファイバーにも含まれる、人体に安全な薬剤です。(セルロースFに対抗する断熱業者からは、<有毒だ>と言われていますが、実際は食塩より安全です)食塩は確実に口に経口しますが、壁の中に吹き込まれているセルロースFを取り出してドラム缶1本以上も食べる人が居るでしょうか? ゴキブリ駆除に使われる団子も実はこの成分です。 ゴキブリとシロアリは、生物学上ほぼ同じ構造だそうです。 ホウ酸は、人間のような哺乳類にとって万一経口しても代謝して体外へ便として出すことが出来るが、彼ら(ゴキブリやシロアリ)には代謝することが出来ず、体内に固まってしまう。その為便秘状態となり、死に至る。 つまり、構造に使っている木材も、断熱材のセルロースFもシロアリに食害を受けることはありません。 次に基礎パッキンへのご質問ですが、実は基礎断熱をする前(6年前)までは弊社も基礎パッキン工法を採用していました。 確かに、基礎パッキンは直径1.5センチほどの穴が無数にあるだけで、空気の対流や換気に強制力はありません。 ただ漠然と、<基礎の下は乾燥させなくてはいけない>ものとして採用していました。 しかし、全館空調システムを採用するにあたり、北米(カリフォルニア)と北海道の住宅を見学に行った際、必ずと言っていいほど地下室が有り、そこは当然外断熱されているのです。 地下室の壁と1階の壁はつながっていますから、当然基礎パッキンなど存在しません。 逆に、北海道で基礎パッキン工法を採用したら、冬はコンクリートが凍て付きひび割れてしまい、夏は外気が急激に冷やされて結露してしまいます。 北米でも基礎と床下の間に外気を入れれば、日中は40度近くなる砂漠気候は、夜間0度近く冷え込むことも珍しくなく、当然結露するのです。 乾燥目的に考えられた基礎パッキンが、実は結露を呼ぶ原因になるのです。 日本の大工には、吉田兼好(12〜13世紀の人)の著した<徒然草>に「家づくりは夏を旨とする」を信奉する人が少なくなく、夏の湿気対策こそ大切だとされてきました。 もちろん、私も日本の夏の湿気は住宅の大敵だと思います。 何百年も経った建物には、高床式の建物が多く存在しているのも事実です。 長くなってしまったので、この件に関しては15日にさらに打ち合わせ時にお話します。